●検査

 

1)血液検査

胆道閉塞が発生すると血液中のビリルビンが増加したり、胆道系酵素のALPやγ-GTPの数値が上昇したりします。診断の補助的な役割をする腫瘍マーカーとしてCA19-9CEAがあります。

 

2)腹部超音波(エコー)検査

体外から超音波の出るプローブをおなかに当てるだけで、針を刺したり、大がかりな機械に入ったりすることもなく、外来で比較的簡単に検査ができます。肝臓の内部、周辺の腫瘤、胆管の拡張などを調べるのに適しており、処置が必要な閉塞があるかどうかの判断にとても有用です。

 

3)CT検査

体の周囲からX線を当てて、体の断面図を撮影する検査です。腫瘍の存在部位や広がりを捉えることができます。胆管の拡張程度や部位も調べることができます。また造影剤を用いることで、腫瘍部と非腫瘍部組織の血流の差を利用して腫瘍を浮かび上がらせることもでき、腫瘍がどの程度、周囲の血管に浸潤(しんじゅん)しているのか推測できます。最近では、1回のスキャンで多数の画像を撮ることができるマルチスライスCTMDCT)が普及しています。多方向からの観察が可能になり進展度診断に有効です。3次元化した画像により血管浸潤の評価が詳細に可能になります。

 

4)MRI検査

巨大な磁石の中に入って体のさまざまな部分を撮影する検査です。CTと同様に胆管の拡張や病変の存在部位・広がりを診断できますが、CTと得られる情報が異なり、治療前の精密検査として行われることがあります。造影剤や内視鏡を使わずに検査することができるため、痛みもありません。

*磁気共鳴胆管膵管(すいかん)撮影(MRCP
MRI
を撮影して得られた情報を基に、コンピューターを使って胆道、膵管の画像を構築する検査手法です。直接胆道造影ほど画像はきれいではありませんが、直接胆道造影では、発熱、胆管炎・胆のう炎、膵炎などの合併症のリスクがあるため、直接胆道造影の前にMRCPを行う場合もあります。

 

5)直接胆道造影

胆管内へ細いチューブを挿入して造影剤を送り、X線撮影する検査です。胆管がんの広がりを観察することができます。取り出した胆汁中のがん細胞を調べることも可能ですが、診断には限界があります。また、同時に黄疸の治療として、下流に流れなくなった胆汁を体の外に導出する処置も行うのが普通です。


*内視鏡的逆行性胆管造影(ERC
内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、胆管の出口である十二指腸乳頭から細いチューブを入れ、造影剤を注入してX線撮影することにより、 胆管のかたちを調べる方法です。

*経皮経肝胆道造影(PTC
腹部の皮膚から肝臓を経由して胆管に直接針を刺し、その経路からチューブを入れ、造影剤を注入する方法です。胆管の狭窄(きょうさく)や閉塞の様子が詳しくわかり、腫瘍の存在部位や広がりの診断に有用です。

 

6)胆道鏡

直接胆管の中に細いファイバースコープを通し、胆管内を観察する検査です。胆管の粘膜内進展範囲の診断に有用で、粘膜から小さな組織片を採取し、腫瘍の広がりをより詳しく調べる方法(組織診検査)もあります。

*経口胆道鏡(POCS
内視鏡を口から十二指腸まで挿入する内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)の経路を使用します。

*経皮経肝胆道鏡(PTCS
皮膚からチューブを挿入する経皮経肝胆道造影(PTC)の経路を使用します。

 

7)超音波内視鏡検査(EUS)、管腔内超音波検査(IDUS

超音波内視鏡検査(EUS)は、内視鏡の先端に超音波検査装置が付いています。がんの近くから観察することができ、肝門部領域胆管がんの血管浸潤や遠位胆管がんの壁内進展度診断に有用です。管腔内超音波検査(IDUS)は、十二指腸乳頭部から胆管に超音波プローブを挿入し、胆管内部を観察することができます。IDUSの超音波プローブは細く、EUSでは入ることができない細い胆管にも挿入することが可能です。胆管がんの深達度診断、血管浸潤の垂直方向浸潤の診断、および壁内進展の診断に優れています。

 

8)PET検査

PET検査は、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出する検査です。最近ではCTを併用したPET-CT検査が普及しています。リンパ節転移や遠隔転移の診断に優れています。

 

●診断

初期の胆道がんは自覚症状がほとんどありません。また、胆道が肝臓から膵臓を通って十二指腸へとつながっていること、胆管の壁が薄いこと、近くに重要な血管や細かな神経、リンパ節が豊富に存在していることなど、臓器の構造や位置関係上、がん細胞が広範囲に及びやすい。そのため、診断がついた時にはかなり進行していることも珍しくありません。

 

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