2023年3月23日、米国デラウェア州ウィルミントン

インサイト・コーポレーション、ペミガチニブの日本国内製造販売承認取得を発表

米国デラウェア州ウィルミントン―2021年3月23日―インサイト・コーポレーション(ナスダック:INCY、以下「インサイト」)は本日、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤であるペマジール®(一般名:ペミガチニブ、以下「ペマジール」)について、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌の治療薬として、日本の厚生労働省による国内製造販売承認を取得したと発表しました。 

 

インサイト・コーポレーション、ペマジール®(ペミガチニブ)の国内製造販売承認取得を発表|インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社のプレスリリース (prtimes.jp)

 

Incyte - Incyte Announces Approval of Pemazyre® (pemigatinib) in Japan for the Treatment of Patients with Unresectable Biliary Tract Cancer (BTC) with a Fibroblast Growth Factor Receptor 2 (FGFR2) Fusion Gene, Worsening After Cancer Chemotherapy

 

<ポイント>

◆日本でもゲノム医療が進められており、すでにいくつかのがんでは遺伝子治療薬が標準治療となっています。

 

◆FGFR阻害剤ペミガチニブは、2020年4月17日にアメリカで承認され、約1年遅れでついに日本でも製造販売承認されました。

 

◆FGFR融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんに特異的で、その約14~16%にFGFR2融合遺伝子があることがわかっており、複数の企業がFGFR阻害薬の開発を進めています。

 

◆厚生労働省によると、製造販売承認後、薬価決定に2~3か月ほどかかるとみられ、薬価決定後は90日以内に販売されるとのことです。一日も早く使われるようになることを願います。

 

 

 

 

2020年9月14日、東京

インサイト・バイオサイエンス・ジャパン合同会社発表

  

FGFR2融合遺伝子のある進行/転移性または切除不能な胆管がん患者の治療薬

「ペミガチニブ」、日本でも承認申請

 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202009/567103.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000003.000060544.html?__twitter_impression=true&s=09

 

<ポイント>

◆厚労省によると、ペニガチニブは希少疾病用医用品(オーファンドラッグ)に指定され優先審査の対象となり、問題がなければ9か月で審査が終わるとのことです(通常は1~2年)。承認されれば、薬価設定や諸々のプロセスにさらに2~数か月かかり、販売時期は今のところ不明です。一刻も早く、2021年内には使えるようになることを願います。(アメリカでは2020年4月に承認済。)

 

◆近年、胆道がんでもゲノム解明が進み、高い治療効果を期待できる分子標的薬の開発が活発化しています。国立がんセンターがシンガポールの研究グループと行った国際プロジェクトでは、胆道がんの40%に治療標的となり得るゲノム異常があることがわかり、FGFR2、IDH1、HER2といったドライバー遺伝子が同定されたとのことです。 

◆その中でも、現在、開発が最も進んでいるのがFGFRを標的とする薬剤。胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんに特異的で、その約14~16%にFGFR2融合遺伝子があることがわかっており、複数の企業がFGFR阻害薬の開発を進めています。

 

 

2020年1月27日

がんナビ

 

FGFR2融合遺伝子陽性進行胆管癌にFGFR選択的経口阻害薬E7090が有効である可能性、フェーズ2開始【ASCO GI2020】

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202001/564013.html

 

 

 

 

20191029

日経ビジネス

 

がんゲノム医療、見えてきた課題

 

がん患者の遺伝子を解析し、その結果に基づいて治療内容を決める「がんゲノム医療」が20196月、保険診療の中でできるようになった。だが、実際に動き出してみると様々な課題が表面化している。個々の遺伝子に応じた「精密医療」の実現に向けた試行錯誤が続いている。

がんは遺伝子に傷が付いて生じるが、どの遺伝子に傷が付いてがんを引き起こしているのかは、同じ臓器のがんであっても人によって異なる。一方で、抗がん剤の中には、特定の遺伝子変異をターゲットに開発された「分子標的薬」が多数存在し、原因となる遺伝子変異が同じであれば臓器は違っても有効な場合があると考えられている。

 

 そこで、がん患者のどの遺伝子に傷が付いているかを調べ、最適な治療を提供しようというのががんゲノム医療だ。このがんゲノム医療に用いる「遺伝子パネル検査」が196月に保険に収載され、保険診療の中で診断、治療が行えるようになった。

 遺伝子パネル検査は、数多くの遺伝子の変異を同時に解析するもので、中外製薬の製品とシスメックスの製品の2種類が承認されている。それぞれ解析する遺伝子の数などに違いがあるが、保険点数はどちらも56000点。3割負担なら168000円で検査が受けられる。

 とはいえ、実際に動き出してみると様々な課題が表面化している。まず何よりも大きな問題になっているのは、対象が「標準治療が無い」または「標準治療が終わった」固形がんの患者に限られていることだ。希少ながんなど、標準治療が無い場合は比較的早い段階で検査を受けることができるが、一般的ながんの場合はまず標準治療を受けてからでないと検査を受けられない。標準治療が終わってなお進行している患者や再発した患者となると、相当深刻な場合が多い。

 一方で、遺伝子を解析するだけではなく、パネル検査の結果を基にどういう治療を行うのが適切かを、がんゲノム医療の拠点となる病院に置かれた専門家会議で検討するという手順を踏むため、結果が主治医に戻ってくるまでには4週間から6週間の時間がかかる。進行がんの患者にとって、この時間は長すぎる場合もあるだろう。「結果が判明する前に、亡くなってしまう患者もいる」と、がんの専門医は言う。

 しかも検査の結果、遺伝子に変異が見つかったとしても治療に結びつくとは限らない。国立がん研究センター中央病院(東京・中央)が165月から175月にかけて行った臨床研究では、遺伝子パネル検査を行って結果が出た患者のうち、遺伝子変異に合った治療薬の投与を受けられたのは13.4%、25人にすぎなかった。採取した遺伝子の量や質に問題があるなどの理由で遺伝子解析に至らなかったなどの件数を加えると、臨床研究に参加した人の1割程度でしか治療薬の投与には至っていない。

 さらに、保険診療の中で承認されている薬を使えたのは25人のうち6人だけだ。15人は治験中の薬、4人は本来は適応外の薬の投与を受けた。未承認の薬でも治験が行われていれば、それに参加することで治療を受けられるが、適応外というのは少し厄介だ。適応外の薬を使うと保険外診療となり、薬代だけでなく、検査や入院代などを含めた医療費が全額自己負担となってしまう。

 適応外の薬を投与するのは、例えば乳がんに対して承認されている分子標的薬を、承認を取れていない肺がんに対して使用するようなケースだ。臓器は異なるものの、がんの原因となっている遺伝子の変異が同じであれば、その分子標的薬が効く可能性がある。

そこで、適応外の薬を保険診療の中で使えるようにしようと設けられたのが、「患者申出療養制度」だ。国立がん研究センター中央病院はこのほど、別のがんで承認されている薬を使ってその効果を検討する臨床研究を開始した。抗がん剤を無償提供するのはスイスの製薬大手、ノバルティスの日本法人だ。

 残念ながら現時点で臨床研究で使われるのは同社の抗がん剤のみ。ある製薬企業の関係者は、「適応外使用の臨床研究に薬を提供して、予期しない副作用が出現するような事態は避けたい」と、薬の提供に慎重にならざるを得ない事情を明かす。

 国立がん研究センターでは、「今後さらに多くの企業の協力が得られるようお願いしていく」としており、協力する企業が少しずつでも増えていけば、自分の遺伝子に合った治療を受けられる人は増えていくだろう。

 もっとも、原因となる遺伝子の変異が同じでも、臓器が異なると効かない分子標的薬があることはすでに知られている。適応外使用が有効かどうかは未知数だ。

 一方で、自分の遺伝子変異に合った薬が見つからなかった患者はどうすればいいのかなど、がんゲノム医療が普及していく中で解決していかなければならない問題は数多くある。がんゲノム医療を受けられる病院や、専門家会議を設置できる病院の数も現時点では限られており、人材育成や体制整備も過渡期の段階にある。ゲノム解析という最先端技術を国民皆保険制度の中に取り込むための試行錯誤は、まだしばらく続きそうだ。 

 https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/genome/050/index.html

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